お年玉とインフレ。金融教育って、こういう話だと思う
今朝の日経新聞朝刊に、こんな記事がありました。
「買えるゲームソフトが、2本減った」。
ああ、そうだよね、と思いながら
どこかで”値上げを悪者にする声”も聞こえてきそうです。
でも、この話。
「物の値段が上がった」というだけで終わらせてしまうのは、
もったいない。
インフレって、
物の値段が上がることと同時に、
貨幣の価値が下がるということでもある。
この視点、
実は大人のほうが、抜け落ちていることが多い気がします。
安い・高い、割引がある・ない、
そういう話ではなくて、
「お金の価値が下がっていく中で、どう付き合うか」。
ここにこそ、金融教育の本質があると思うのです。
たとえば、
「今は我慢して、預貯金して、5年後に買おうね」
という話。
もし、日本の預金金利が
インフレと同じか、それ以上つくなら、話は別です。
でも、現実はそうではない。
そうなると、
「じゃあ、どうする?」
という問いが、自然に生まれます。
ここから先は、
子どもとも話せるテーマになると思います。
なぜ日銀の政策金利は0.75%なのか。
なぜ実質金利は大きくマイナスなのか。
ニュースを“暗記”するためじゃなく、
生活と結びつけて考える材料になる。
2026年には、未成年NISAも復活します。
投資も含めて、どう備えるか。
親子で考えるには、ちょうどいいタイミングです。
答えを出さなくても、疑問を持つことがまず大切です。
株式の話をするなら、
従業員の給与の話も同時にすべきでしょう。
インフレと同等、
あるいはそれ以上に年収が上がらなければ、
購買力は下がる一方。
そう考えると、
「どんな仕事をするか」
「会社員でいるのか、起業も視野に入れるのか」
そんな話にまで、自然につながっていくかもしれません。
金融教育って、
実は、親が自分の働き方や生き方と向き合う時間でもあるのかもしれません。
それから、
お年玉には、もうひとつ大切な視点があると思っています。
今の大人にとっての1万円は、
比較的、身近な金額。
でも、子どもの頃の1万円って、
とてつもなく大きな金額じゃなかったでしょうか。
その1万円を
「使う」という体験。
ただ取っておくのではなく、
今の年齢だからこそ感じられる価値に使うこと。
私は、
子どもが今使う1万円の価値は、
大人になってから使う1万円より、
ずっと大きいと思っています。
ある意味、逆インフレ、ですね。
親と一緒に、
身近なことでお金を使う体験をする。
それが、いちばん自然な金融教育だと思います。
先生から
「お金とは〜」と教わるのも悪くはない。
でも、テストに合格することやお金を知ることと
お金を人生を豊かにする道具として使えることは、別。
お金に使われる人生ではなく、
お金を使う人生を。
そんなことを、
お年玉とインフレの話から、考えています。